大判例

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東京高等裁判所 昭和35年(ネ)1410号 判決

証拠によれば、被控訴人山田重夫、同山田しづ名義の養子縁組の届出が、昭和三四年一月六日付をもつて静岡市長宛になされ、その旨戸籍に登載されていることが認められる。

控訴人等は、右縁組届は縁組当事者たる被控訴人山田しづの意思に基かず被控訴人山田重夫の偽造にかかるものであり、仮に被控訴人山田しづに縁組の届出自体についてその意思があつたとしても、しづには縁組の意思がなかつたのであるから、本件養子縁組は無効であるとして、本訴においてその無効確認を求める旨主張し、被控訴人等は、縁組の当事者でない控訴人等には、本訴提起の当事者適格がないものである、と抗弁するので、まずこの点について考える。思うに、縁組無効確認の訴の原告たり得る者については、人事訴訟手続法等に明確な規定がなく、見解もわかれているところであるが、縁組当事者以外の第三者といえどもその利益あるかぎり、右無効の確認を求めることができるものというべく、その利益があるとなすには、縁組の無効によつて直接に特定の権利を取得しまたは特定の義務を免れるごとき利害関係の現存することを必要とするものと解するを相当とする。而して縁組当事者の親族であつても、扶養相続に関して直接影響をうける者でなければ、右いわゆる利害関係があるとはいい得ないものと解する。被控訴人主張の如く縁組当事者のみを本訴の適格者と解することは、当裁判所の採らざるところである。証拠を綜合すれば、控訴人山田正恵、同山田隆俊は、被控訴人山田しづの長男である亡勇一とその妻控訴人山田好子との間に出生した子であり、勇一が昭和二四年七月一八日死亡後、控訴人山田好子と被控訴人山田重夫(旧姓杉江)とは一時内縁関係にあつたことが認められる。してみれば、本件縁組の無効によつて、控訴人山田正恵、同山田隆俊は扶養、相続に関し直接影響を受けるが、控訴人山田好子はかかる影響を受ける者ではない。従つて、控訴人山田正恵、山田隆俊は、本件縁組無効確認を求める当事者適格を有するが、控訴人山田好子は当事者適格を有せず、同人の本訴は不適法であるといわなければならない。

(角村 菊池 吉田)

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